「節税対策を積極的にやりたいが、脱税にならないか心配」という声は、まつうら総研の相談の中でもよく聞かれます。節税と脱税の境界線を正確に理解することは、適切な税務管理の基礎であり、経営者・個人事業主として必須の知識です。
このページでは、節税・租税回避・脱税の違いを法律の観点から解説し、安全な節税を実践するための考え方を紹介します。
節税・租税回避・脱税の定義
節税(Tax Saving)
節税とは、税法が明示的に認めた控除・特例・制度を活用して、合法的に税負担を軽減することです。青色申告特別控除の適用・各種所得控除の活用・損金算入できる支出の計上・税額控除の適用などが節税に該当します。
節税は国が「活用してほしい」という趣旨で設けた制度を利用するものであり、積極的に活用することは何ら問題ありません。むしろ、活用できる制度を活用しないことは「機会損失」です。節税は経営の合理的な行動の一つです。
租税回避(Tax Avoidance)
租税回避とは、税法の文言上は違法ではないものの、税法の趣旨・目的から逸脱した方法で税負担を軽減しようとする行為です。いわゆる「グレーゾーン」の行為で、税務当局が問題視することがあります。
租税回避の典型的な例として、実体のない取引を形式上の根拠にした節税スキームや、経済的実質と異なる法律形式を利用した税負担の軽減などがあります。租税回避と判断されると、税務調査で否認されて追徴課税を受けるリスクがあります。
脱税(Tax Evasion)
脱税とは、所得を隠す・架空の経費を計上する・申告書を提出しない・虚偽の申告をするなど、税法に明確に違反した方法で税負担を逃れることです。脱税は刑事罰の対象となる犯罪行為です。
具体的な脱税の例としては、売上を意図的に除外する(売上除外)・架空の経費を計上する(架空計上)・二重帳簿の作成・申告書への虚偽記載などがあります。これらは税理士がいたとしても、経営者自身が主導した場合は刑事責任を問われます。
脱税が発覚した場合のペナルティ
追徴課税と加算税
脱税・申告漏れが税務調査で発覚した場合、本来納付すべきだった税金(本税)に加えて、次のようなペナルティが課されます。
・過少申告加算税:申告はしていたが少なく申告していた場合、10〜15%
・無申告加算税:申告しなかった場合、15〜20%
・重加算税:仮装・隠蔽を伴う悪質な場合、35〜40%
・延滞税:本税の未払期間に応じて発生(年率2.4〜8.7%程度)
重加算税が適用されると、本税の35〜40%がペナルティとして上乗せされ、延滞税と合わせると大きな追徴税額になります。
刑事罰
意図的な脱税(ほ脱)が認められた場合、租税特別措置法・国税通則法などに基づいて刑事罰が科せられます。法人税・消費税・所得税のほ脱は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(またはその両方)という重い刑罰が定められています。
税務調査から告発・起訴に至るケースは相対的には少ないですが、悪質性が高いと判断された場合は刑事事件となります。事業者としての信用失墜も深刻な損害になります。
安全な節税を実践するための原則
実態を伴った取引を行う
節税として認められるためには、取引の「経済的実質」が伴っていることが重要です。形式だけを整えて実態のない取引を行うことは、脱税・租税回避に該当するリスクがあります。例えば、実際に業務を行っていない家族への給与支払い・実質的な経費でないものを経費として計上することは認められません。
専門家と連携する
節税対策は、税務の専門家(税理士)と連携して実施することが最も安全です。特に、新しい節税スキームや複雑な取引については、専門家の判断を仰ぐことで税務リスクを最小化できます。まつうら総研では、合法的・安全な節税戦略の立案と実行支援を行っています。節税に関する疑問や不安は、ぜひご相談ください。