個人が取り組める節税対策は、給与所得者・個人事業主・フリーランスそれぞれの状況によって異なります。しかし、多くの人が利用できる節税制度が存在するにもかかわらず、知らないがゆえに活用できていないケースは少なくありません。
まつうら総研では、個人の税務相談にも幅広く対応してきました。このページでは、個人が活用できる主要な節税手法を体系的に解説します。自分の状況に合った節税方法を見つけ、手取り収入の最大化を目指しましょう。
個人事業主・フリーランスの節税対策
①青色申告の活用
個人事業主にとって最も効果の大きい節税手法の一つが青色申告です。複式簿記による帳簿作成・貸借対照表・損益計算書の添付などの要件を満たすことで、最大65万円(電子申告)の青色申告特別控除を受けられます。
また、青色申告では赤字(純損失)を翌年以降3年間繰り越すことができます。開業初年度など赤字になった場合でも、翌年以降の黒字と相殺できるため、長期的な節税計画に有効です。青色事業専従者給与として配偶者や家族への給与を経費算入できる点も大きなメリットです。
②経費の適正計上
個人事業主は、事業に必要な費用を経費として計上できます。主な経費項目には、仕入費用・交通費・通信費・広告宣伝費・接待交際費・消耗品費・研修費・書籍代・外注費などがあります。
自宅兼事務所の場合、家賃・光熱費・通信費の一部を家事按分として経費計上できます。事業利用割合を合理的に算定し、記録を残しておくことが重要です。事業と私的用途が混在するものについては、合理的な按分基準を設けて管理しましょう。
③小規模企業共済への加入
小規模企業共済は個人事業主が加入できる節税効果の高い制度です。月額1,000円〜70,000円の掛金が全額所得控除となるため、年間最大84万円の控除が受けられます。課税所得が高い方ほど節税効果が大きく、所得税率が33%の方であれば年間最大約27.7万円の節税効果があります。
廃業時には共済金として受け取れますが、退職所得として優遇税制が適用されるため、受取時の税負担も軽減されます。事業を将来的に法人化する予定がある方も、個人事業主期間中に積み立てておくことをお勧めします。
④国民健康保険料の管理
個人事業主が支払う国民健康保険料は、全額が社会保険料控除として所得控除の対象になります。国民年金保険料も同様です。これらは確定申告で確実に控除申告しましょう。
また、所得を適切に管理することで、翌年度の国民健康保険料を抑制できる場合があります。前年の所得が国民健康保険料の算定基準になるため、節税による所得圧縮が翌年以降の保険料削減にもつながります。
給与所得者でも使える節税対策
①iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、給与所得者・個人事業主問わず活用できる老後資金積立制度です。毎月の掛金が全額所得控除となり、運用益は非課税で再投資されます。受取時も退職所得や雑所得として税制優遇が受けられます。
給与所得者(企業年金なし)は月額23,000円(年間27.6万円)まで、企業年金がある場合はそれぞれの上限が設定されています。個人事業主は月額68,000円(年間81.6万円)まで拠出可能です。長期的な資産形成と節税を同時に実現できる優れた制度です。
②ふるさと納税の活用
ふるさと納税は、任意の自治体に寄附することで所得税・住民税の控除が受けられる制度です。自己負担2,000円で各地の返礼品が受け取れるため、実質的なお得感があります。ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告不要で住民税から控除されます(5自治体まで)。
控除上限額は収入・家族構成によって異なります。年収500万円の独身者で約6万円程度が目安です。シミュレーターを活用して自分の上限額を確認し、年末までに計画的に利用しましょう。
③医療費控除・セルフメディケーション税制
年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超える場合、超過分が医療費控除の対象になります。家族全員分の医療費を合算して申告できます。歯科治療・眼鏡(医師の処方が必要な場合)・通院交通費なども対象になります。
また、医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」があります。定期健康診断などを受けた上で、対象の市販薬を年間12,000円以上購入した場合に適用できます。通常の医療費控除との選択制ですので、有利な方を選択しましょう。
④住宅ローン控除の活用
住宅ローンを組んでマイホームを取得した場合、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が適用されます。年末のローン残高の0.7%(2022年以降の入居者)が最長13年間、所得税額から直接控除されます。
所得税額から引ききれない場合は住民税からも一定額が控除されます。住宅取得を検討している方は、節税効果も含めてシミュレーションを行うことをお勧めします。
法人化を検討する節税戦略
個人事業主から法人化するタイミング
個人事業主として売上・利益が一定の規模に達したとき、法人化を検討することが節税上有効な選択肢となります。一般的に、課税所得が800万円〜1,000万円を超えてくると、法人化による節税効果が生まれやすいとされています。
法人化することで、役員報酬の設定・退職金制度の活用・法人保険の利用など、個人事業主では使えなかった節税手法が利用可能になります。ただし、法人化には社会保険料の増加や維持コストが伴うため、トータルコストを慎重に比較検討することが重要です。まつうら総研では、法人化の検討から設立後の節税計画まで包括的にサポートしています。