役員社宅の活用方法

法人が住居を借り上げて役員に貸す「役員社宅」の仕組みと節税効果を解説します。

役員社宅の活用方法

「住宅費を経費にできる方法がある」という話を聞いたことはありますか。役員社宅の活用は、法人を経営する経営者にとって非常に効果的な節税手段の一つです。個人で家賃を払っていた住居を法人名義で借り上げ、役員に低廉な賃料で貸し付けることで、家賃の多くを法人の損金として計上できる仕組みです。

まつうら総研では、財務トレーナーとして多くの法人経営者に役員社宅の活用を提案し、実際の節税効果を実現してきました。このページでは、役員社宅の仕組み・節税効果・正しい運用方法について詳しく解説します。

役員社宅とはどういう仕組みか

役員社宅とは、法人が住宅物件を賃借し、それを役員(経営者)に社宅として貸し付ける制度です。「借り上げ社宅」とも呼ばれます。通常、役員が個人で住宅を借りると、家賃は役員報酬(税引き後の個人所得)から支払うことになります。しかし法人が住宅を借り、役員に貸し付ける形にすると、法人の支払う家賃は損金(経費)として算入できます。

役員は会社から社宅を提供される代わりに、一定の賃料(以下「役員負担賃料」)を会社に支払います。この役員負担賃料は、法令で定められた計算式によって算定した「賃貸料相当額」以上であれば、役員への経済的利益(給与)とはみなされません。つまり、法人が支払う家賃と役員が負担する最低賃料の差額部分を、法人が丸々経費化できることになります。

賃貸料相当額の計算方法

小規模住宅の場合

床面積が木造132㎡以下(木造以外は99㎡以下)の小規模住宅の場合、賃貸料相当額は次の合計額となります。

① 固定資産税の課税標準額 × 0.2%
② 12円 × (床面積㎡ ÷ 3.3)
③ 固定資産税の課税標準額 × 2.2%

この計算式で算出された額(月額)以上を役員が会社に支払えば、差額分が給与課税されません。一般的な住宅では、実際の家賃の20〜30%程度が賃貸料相当額となるケースが多く、残りの70〜80%は法人の経費となります。

大規模住宅・豪華社宅の場合

床面積が小規模住宅の基準を超える場合は「大規模住宅」として扱われ、賃貸料相当額の計算方法が異なります。大規模住宅の場合、賃貸料相当額は「通常支払うべき家賃の50%」が基準となります。つまり、実際の家賃の半分以上を役員が負担しなければ給与課税されることになり、節税効果は小規模住宅に比べて低くなります。

さらに、いわゆる「豪華社宅」(評価額や時価が高額な物件)については、賃貸料相当額が通常の賃料相当額とされ、節税効果がほとんど得られないケースもあります。税務上の効果を最大化するには、小規模住宅の基準を満たす物件を選ぶことが重要です。

役員社宅の節税効果を具体的に見てみる

個人で家賃を払う場合との比較

例えば、月額20万円の住宅に住んでいる役員が、個人で家賃を払う場合と社宅を活用する場合を比較してみましょう。

【個人で支払う場合】役員報酬(額面)から所得税・住民税・社会保険料を差し引いた手取りから、20万円の家賃を支払います。家賃を払うためには、税引き前で30万円以上の役員報酬が必要になる計算です(税率・保険料率により異なります)。

【社宅を活用する場合】法人が20万円の家賃を支払い損金算入します。役員が支払う賃貸料相当額が仮に4万円だとすると、役員の実質的な住宅費は4万円のみです。差額の16万円が法人の経費になり、かつ役員の給与課税も発生しません。役員の手取りを減らさずに、法人の課税所得を毎月16万円(年間192万円)削減できることになります。

法人税・所得税の両面で節税できる

役員社宅は、法人の課税所得を下げると同時に、役員個人の役員報酬を下げても生活水準を維持できるため、役員の所得税・住民税・社会保険料の節減にもつながります。家賃の大部分が法人コストとなる一方で、役員個人の給与課税は発生しないため、法人・個人の両面で税負担を軽減できる非常に効率的な節税手法です。

役員社宅を導入する際の手順と注意点

導入の手順

役員社宅を導入するには、まず法人が賃貸借契約の当事者(借主)となって住宅を借り、役員に転貸する形をとります。賃貸借契約の名義は法人名義にする必要があります。個人が契約して後から法人名義に変更するのは、物件によっては難しい場合があるため、新たに住居を探す際は最初から法人名義で契約することを検討しましょう。

法人と役員の間で社宅の貸借に関する規程(社宅規程)または覚書を作成し、賃貸料相当額の計算根拠・役員負担賃料の金額・支払方法を明確にしておきます。また、固定資産税課税標準額は賃貸物件の所在する市区町村の固定資産税課税台帳で確認できます。

注意すべきポイント

役員社宅の活用で注意が必要なのは、役員が負担する賃貸料相当額の計算を正確に行うことです。計算を誤って相当額を下回る賃料しか徴収していない場合、差額が役員給与として課税されます。また、社宅の利用実態が実際に役員の居住用になっていることが前提で、実態のない社宅契約は否認されるリスクがあります。

さらに、物件の更新・引っ越しの際には賃貸料相当額を再計算する必要があります。固定資産税課税標準額は物件ごとに異なるため、物件変更時には必ず再計算してください。

まつうら総研からのアドバイス

役員社宅は、適切に運用すれば非常に効果的な節税手段です。ただし、賃貸料相当額の計算・社宅規程の整備・税務上の証跡管理など、正しく運用するための準備が必要です。「社宅を導入したいが手続きがわからない」「今の自宅を社宅にできるか確認したい」といったご相談を多く受けています。

まつうら総研では、財務トレーナーとして役員社宅の導入支援から賃貸料相当額の計算、社宅規程の整備まで一貫してサポートいたします。役員社宅の活用による節税をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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