法人税は、法人(会社)の所得に対して課される国税であり、多くの経営者が最も気にする税金の一つです。「利益が出れば税金がかかる」という認識は正しいですが、実際の計算の仕組みは会計上の利益とは異なる部分があります。
法人税の基本を正しく理解することで、税額の見通しを立てやすくなり、適切な節税対策も検討できます。また、税理士との打ち合わせがより実りあるものになります。このページでは、法人税の基本的な仕組みを初心者にもわかるよう解説します。
法人税とは何か
法人税は、会社が1年間(事業年度)の活動で得た所得(課税所得)に対して課される税金です。国(国税庁)に納付します。法人税法という法律によって規定されており、毎年の税制改正で変更されることがあります。
法人税の課税対象となる「所得」は、会計上の利益とは異なります。会計上の利益をベースに、税法の規定に従った申告調整(益金・損金の算入・不算入)を加えて「課税所得」を算出します。
課税所得の計算方法
基本計算式
課税所得 = 益金の額 ー 損金の額
・益金:税法上収益として認識される金額(会計上の収益とほぼ同じだが一部異なる)
・損金:税法上費用として認識される金額(会計上の費用とほぼ同じだが一部異なる)
損金不算入の代表例
以下の費用は会計上は費用ですが、税法上は損金として認められない(または一部しか認められない)ため、課税所得が増加します。
・交際費の超過分(中小企業は年800万円まで、または飲食費の50%を損金算入可)
・役員賞与(事前届出のないもの)
・過大役員報酬
・減価償却の超過額(税法の耐用年数・償却率を超えた部分)
・寄付金の超過額
益金不算入の代表例
以下の収益は会計上は収益ですが、税法上は益金に含めない(または一部のみ含める)ため、課税所得が減少します。
・受取配当金の益金不算入額(子会社からの配当など)
・欠損金の繰越控除(過去の赤字を当期の課税所得から差し引ける制度)
法人税の税率
普通法人の基本税率
法人税の基本税率は23.2%です。ただし、資本金1億円以下の中小法人(普通法人・協同組合など)には軽減税率が適用されます。
中小法人の軽減税率
・課税所得800万円以下の部分:15%
・課税所得800万円超の部分:23.2%
例えば、課税所得が1,000万円の中小法人の法人税額は以下のように計算されます。
800万円 × 15% = 120万円
200万円 × 23.2% = 46.4万円
合計:166.4万円
法人税以外の関連する税金
法人が納める税金は法人税だけではありません。以下の税金も合わせて理解しておきましょう。
法人住民税
都道府県と市区町村に納付する地方税です。法人税額をベースに計算する「法人税割」と、資本金等の額に応じて課税される「均等割」から成ります。均等割は赤字でも課税されるため注意が必要です(最低7万円程度)。
法人事業税
都道府県に納付する地方税で、所得・資本などに応じて計算されます。法人事業税は翌期の損金(費用)として計上できる点が特徴です。
申告・納付のスケジュール
確定申告
決算日から2ヶ月以内に確定申告書を提出し、納税します。例えば3月31日決算の場合、5月31日が申告・納付期限です。税理士に申告を依頼している場合、申告期限の延長申請をすることで3ヶ月以内(6月末)まで延長できます。
中間申告・予定納税
前期の法人税が20万円を超える場合、決算から6ヶ月後に中間申告と納税が必要です。前年の法人税の半額を納付する「予定申告」と、直近6ヶ月の実績で計算する「仮決算」のいずれかを選択できます。
節税の基本的な考え方
節税とは、税法の範囲内で合法的に税負担を軽減することです。以下のような方法が代表的な節税対策として挙げられます。
・小規模企業共済への加入(役員の退職金準備と節税を同時に実現)
・経営セーフティ共済(倒産防止共済)への加入
・設備投資による即時償却・税額控除の活用
・役員報酬の適切な設定による所得分散
・欠損金の繰越控除の活用
重要なのは、節税対策は税法の枠内で行うことです。脱税(虚偽申告・隠蔽)は犯罪であり、厳しい罰則の対象となります。
まとめ
法人税は会社の課税所得に対して課される税金であり、会計上の利益とは異なる「申告調整」が必要です。税率は中小企業の場合、課税所得800万円以下は15%(軽減税率)、それを超える部分は23.2%です。申告・納税は決算日から2ヶ月以内が原則です。
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