相続税の節税は、「法律の範囲内で税負担を適正に減らすこと」です。脱税とは全く異なります。税法には数多くの特例・控除・優遇措置が設けられており、これらを正しく活用することで相続税を大幅に減らせるケースも多くあります。
まつうら総研は、財務トレーナーとして多くの経営者・資産家の相続対策に携わってきました。このページでは、代表的な相続税の節税手法を分かりやすく整理し、それぞれの仕組みと注意点を解説します。「節税は難しい」と思っている方も、基本を押さえれば取り組みやすくなります。
節税の基本:相続税の課税の仕組みを理解する
相続税の節税を考える前に、相続税がどのように計算されるかを理解することが重要です。相続税は、相続財産の総額から基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を差し引いた「課税遺産総額」をもとに計算します。
節税の方向性は大きく2つです。①課税遺産総額を減らす(財産を減らす・評価額を下げる)、②控除・特例を最大限活用して税額を減らす、の2方向です。この2つの視点から対策を考えると整理しやすくなります。
節税対策①:生前贈与による財産の移転
暦年贈与(年110万円の基礎控除の活用)
贈与税には年110万円の基礎控除があります。1年間に110万円以内の贈与であれば贈与税はかかりません。この仕組みを利用して、毎年コツコツと財産を移転していくのが「暦年贈与」です。
例えば、子2人・孫4人に毎年それぞれ110万円を贈与すれば、年間で合計660万円を無税で移転できます。10年続ければ6,600万円の財産移転になります。ただし、2024年の税制改正により、相続開始前7年以内(2031年以降に相続が発生する場合)の贈与は相続財産に加算されます(従来は3年以内)。開始が早ければ早いほど効果的です。
相続時精算課税制度の活用
60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2,500万円までの贈与を贈与税なしで行える制度です。2,500万円を超えた部分は一律20%の贈与税が課されますが、贈与した財産は相続時に相続財産に組み戻され、精算されます(支払った贈与税は相続税から控除)。
2024年の改正から、相続時精算課税制度にも年110万円の基礎控除が設けられました。この110万円以内の贈与は、相続財産への加算の対象外となります。収益不動産など将来価値が上がる財産の早期移転に特に有効です。
節税対策②:生命保険の活用
死亡保険金の非課税枠
相続人が受け取る生命保険の死亡保険金には、「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります。例えば相続人が3人いれば、1,500万円まで相続税がかかりません。
これは、現金1,500万円をそのまま相続させるよりも、生命保険を通して渡すほうが節税になることを意味します。一時払い終身保険などを活用して、現金を生命保険に換えることで非課税枠を活用できます。また、死亡保険金は受取人固有の財産となるため、遺産分割の対象外となり、すぐに受け取ることができるという実務的なメリットもあります。
納税資金の確保
生命保険は節税だけでなく、相続税の納税資金の確保にも役立ちます。相続財産に不動産・自社株が多い場合、現金が不足して相続税の支払いに困ることがあります。生命保険(死亡保険金)を活用して納税資金を準備しておくことで、不動産の安売りや分割払い(延納)による利子税の発生を防げます。
節税対策③:小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例は、被相続人が居住または事業に使っていた土地について、一定の要件を満たせば評価額を最大80%減額できる制度です。これは相続税の節税対策の中で最も効果が大きい特例の一つです。
特定居住用宅地等(自宅)は330㎡まで80%減額、特定事業用宅地等(事業に使っていた土地)は400㎡まで80%減額、貸付事業用宅地等(賃貸不動産の土地)は200㎡まで50%減額されます。
ただし、適用には細かい要件があります。同居の有無・申告期限までの保有継続・生計一親族の要件などを事前に確認しておくことが必要です。この特例を使えるかどうかで、数百万円から数千万円単位で相続税額が変わることもあります。
節税対策④:不動産の活用と評価額の引き下げ
更地への賃貸建物建設による評価減
更地(自用地)として評価される土地に賃貸アパート・マンションを建てると、土地の評価額が「貸家建付地」として減額されます(自用地評価額 × (1 - 借地権割合 × 借地権割合 × 賃貸割合))。また、建物(賃貸)は固定資産税評価額 × 0.7 × (1 - 借家権割合30% × 賃貸割合)で評価され、時価より大幅に低い評価額になります。
ただし、節税効果のみを目的とした過度な不動産投資は、相続後の経営リスクや家族間の分割問題を生む可能性があります。節税だけでなく、収益性・管理の容易さ・将来の売却可能性なども踏まえて判断することが重要です。
路線価と実勢価格の乖離を活用した節税
不動産の相続税評価額(路線価・固定資産税評価額)は一般に時価より低く設定されています。そのため、現金で保有するよりも不動産で保有するほうが相続税評価額を下げられることがあります。しかし、2022年の最高裁判決により、路線価と実勢価格に著しい乖離がある場合は時価(実勢価格)で評価されるリスクがあることが明確になりました。節税スキームの活用は慎重に、専門家と相談しながら進めることが重要です。
節税と脱税の境界線
節税は合法であり、税法が認める特例・控除を活用することは納税者の正当な権利です。一方、財産を隠す・実態のない取引で財産を移転する・虚偽の評価額で申告するといった行為は脱税であり、重大な法的責任を負います。
「節税スキーム」と称するものの中には、税務当局から否認されるリスクが高いものも含まれます。専門家(税理士)と相談しながら、法令に適合した正当な節税対策を進めることが大切です。まつうら総研では、適正かつ効果的な相続税節税のアドバイスを行っています。
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相続と節税は密接に関係しており、早期に対策を始めるほど効果が大きくなります。「どんな節税対策が自分に合っているか」「今の財産構成で相続税がいくらかかるか」を知りたい方は、ぜひまつうら総研にご相談ください。
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