親族内承継とは

家族への事業承継を成功させるための準備と注意点を解説します。

親族内承継とは

親族内承継とは、現経営者の子・配偶者・兄弟姉妹・配偶者の兄弟など、親族の中から後継者を選び、事業を引き継がせる方法です。日本の中小企業では長年にわたって最も一般的な承継方法であり、その文化的背景・税制的な優遇措置の存在から、今でも多くの経営者が希望する選択肢です。

まつうら総研では、親族内承継は「自然発生的にうまくいく」ものではなく、計画的な準備が必要だとお伝えしています。後継者候補を早期に定め、段階的に経営権を移転し、税務的な負担を最小化するプロセスを丁寧に設計することが、成功する親族内承継の鍵です。

親族内承継の準備:後継者の選定と育成

後継者選定のポイント

後継者を選定する際は、「誰が最も血縁的に近いか」ではなく、「誰が最も事業を発展させる資質を持っているか」を基準にすることが重要です。経営者としての意欲・判断力・対人能力・財務感覚・業界知識など、多面的な視点で評価します。

後継者候補が複数いる場合は、特定の役職や権限を付与してパフォーマンスを見る「実地育成」が有効です。また、他社勤務・外部研修・経営者団体への参加など、外部の視点を持たせることで後継者の能力開発にもつながります。

後継者育成の段階的な進め方

後継者育成は段階的に行うことが重要です。一般的な流れは以下の通りです。

第1段階:入社・現場体験(会社の実態・従業員との関係構築)
第2段階:部門責任者・役員就任(経営幹部としての経験)
第3段階:代表取締役就任・現経営者はサポート役へ
第4段階:現経営者の完全引退

この一連のプロセスには最低5〜10年を見込むことが理想です。引退の時期から逆算して、いつ頃から後継者育成を始めるべきかを計画しましょう。

株式の引き継ぎと税務対策

株式移転の方法と税務

経営権を後継者に移転させるためには、議決権の過半数(3分の2以上が望ましい)の株式を後継者に集中させる必要があります。株式の移転方法は以下の3つです。

・生前贈与:毎年少しずつ贈与する(暦年贈与)または相続時精算課税を活用
・売買:後継者が現経営者から株式を購入する(後継者の資金調達が課題)
・相続:現経営者の死亡によって株式を引き継ぐ(相続税の問題あり)

早期から計画的に生前贈与を進めることで、相続税・贈与税の負担を軽減しながら株式を移転できます。

事業承継税制の活用

事業承継税制(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度)を活用することで、後継者が贈与・相続によって取得した自社株に係る贈与税・相続税の全額(特例措置)または一部(一般措置)の納税が猶予され、条件を満たせば免除されます。

この制度を利用するには、都道府県知事への「特例承継計画」の提出・認定など、所定の手続きが必要です。また、後継者が引き続き代表者であること・雇用の8割以上を5年間維持することなど、継続的な要件があります。税理士・中小企業診断士と連携して手続きを進めることが重要です。

経営権移転の実務

代表取締役の交代

株式移転と並行して、代表取締役の交代手続きが必要です。株主総会での取締役選任・取締役会での代表取締役選定・登記変更という流れで行います。

金融機関(借入先銀行など)・主要取引先への連絡も重要です。代表者が変わることで、既存の借入の個人保証(経営者保証)の変更・解除手続きも必要になります。中小企業庁の「経営者保証ガイドライン」に基づき、後継者が不必要な個人保証を負わない形での承継を目指すことが推奨されています。

親族内での合意形成

親族内承継で見落とされがちなのが、後継者以外の親族への配慮です。後継者に株式・事業用資産が集中する場合、後継者以外の相続人(兄弟姉妹など)の遺留分を侵害する可能性があります。

経営承継円滑化法の「民法特例(遺留分に関する特例)」を活用することで、後継者に贈与した株式を遺留分算定の基礎財産から除外したり、評価額を固定したりすることができます。この特例の適用には、後継者以外の相続人全員の書面による同意と、経済産業大臣の確認・家庭裁判所の許可が必要です。

まつうら総研では、親族内承継に関わるすべての準備を専門家チームと連携してサポートしています。「子どもに継がせたいが、何から始めればよいか」というご相談から承ります。

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