給与計算のやり方

控除項目・源泉徴収・年末調整まで、給与計算の全体像を実務的に解説します。

給与計算のやり方

給与計算は、従業員が最も関心を持つ業務の一つです。ミスが発生すると従業員の信頼を失い、モチベーション低下につながります。また、源泉徴収や社会保険料控除の計算誤りは、税務・社会保険上の問題にもなりえます。

本記事では、給与計算の基本的な流れ・控除すべき項目・源泉徴収の仕組み・年末調整との関係について、実務的な観点からわかりやすく解説します。

給与計算の基本構造

給与計算の基本式は「支給額合計 - 控除額合計 = 差引支給額(手取り額)」です。

支給額には、基本給・各種手当(時間外手当・通勤手当・住宅手当・家族手当など)が含まれます。控除額には、所得税(源泉徴収税額)・住民税・健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料が含まれます。

この計算を毎月正確に行い、従業員に給与明細を交付します。給与明細の交付は法律上の義務ではありませんが、労働条件の透明性確保と従業員との信頼関係のために必ず行うべきです。

支給額の計算

基本給と時間外手当

月給制の場合、基本給は固定額ですが、時間外手当(残業代)は実際の残業時間に応じて計算します。時間外手当の計算式は「時間給単価 × 割増賃金率 × 時間外労働時間数」です。

法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた場合は25%以上の割増、月60時間を超える時間外労働は50%以上の割増が必要です。深夜(22時〜5時)は25%以上の割増が加算されます。休日労働は35%以上の割増となります。

割増賃金の計算を誤ると、未払い残業代として請求される可能性があります。時間給単価の計算方法(通勤手当・住宅手当を含めるかどうかなど)も正確に理解しておく必要があります。

控除対象外の手当

通勤手当は法定の非課税限度額(交通機関利用の場合、月15万円まで)の範囲内であれば所得税が非課税となります。ただし、社会保険料の計算では通勤手当も報酬に含める点に注意が必要です。

家族手当・住宅手当は社会保険料・所得税の計算に含まれます。割増賃金の計算から除外できる手当(家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われる賃金・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金)を正しく把握しておくことが重要です。

控除額の計算

社会保険料(健康保険・厚生年金)の控除

標準報酬月額に基づいて計算された社会保険料の従業員負担分(労使折半の半額)を給与から控除します。毎年9月に標準報酬月額が見直されるため、9月支給分の給与から控除額が変更になります。

控除する保険料額は、年金事務所または健康保険組合から通知される保険料額表(料率表)を使用します。計算ミスを防ぐため、給与計算ソフトを活用することをお勧めします。

雇用保険料の控除

雇用保険料は、「賃金総額(通勤手当含む)× 被保険者負担率」で計算します。被保険者負担率は年度によって変更されることがあります。

雇用保険の被保険者は、週20時間以上・31日以上の雇用見込みがある従業員が対象です。パートタイマーでも条件を満たせば雇用保険に加入する義務があります。加入漏れがないよう注意が必要です。

源泉所得税の計算

源泉所得税は、国税庁が公表する「給与所得の源泉徴収税額表」を使用して計算します。扶養親族の人数・社会保険料控除後の給与額をもとに、甲欄・乙欄・丙欄のいずれかを適用します。

入社時に従業員から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらうことで、甲欄(低い税率)が適用されます。この書類を提出していない従業員には乙欄(高い税率)が適用されます。

年末調整の基本

毎月の給与計算で源泉徴収した所得税は、あくまでも概算です。年末調整により、1年間の正確な所得税額を計算し、過不足を精算します。

年末調整では、扶養控除・配偶者控除・生命保険料控除・地震保険料控除・住宅借入金等特別控除などの各種控除を適用します。従業員から「給与所得者の保険料控除申告書」などの書類を11月〜12月に収集し、12月の給与または賞与で過不足を精算します。

年末調整後は、翌年1月末までに市区町村への「給与支払報告書」と税務署への「法定調書合計表」を提出する必要があります。

給与計算を効率化する方法

給与計算は複雑な作業ですが、適切なツールを活用することで効率化できます。クラウド型の給与計算ソフト(freee給与・マネーフォワードクラウド給与・弥生給与など)を活用することで、保険料率の自動更新・源泉税額の自動計算・給与明細の自動作成が可能になります。

従業員規模が大きくなってきたら、社会保険労務士への給与計算アウトソーシングも有効な選択肢です。専門家に委託することで、計算ミスのリスクを減らし、経営者が本来の業務に集中できます。

どのような形で給与計算を行う場合でも、計算の仕組みを経営者自身が理解していることが重要です。専門家やソフトウェアに全て任せるのではなく、基本的な知識を持った上で活用することをお勧めします。

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