労働契約書の作り方

記載すべき事項・注意点・よくあるトラブルを防ぐポイントを解説します。

労働契約書の作り方

従業員を雇用する際に交わす労働契約書(雇用契約書)は、会社と従業員の間の「約束の証明」です。曖昧な内容や記載漏れがあると、後のトラブルの原因となります。実際に、「聞いていた条件と違う」「残業代が払われない」などの労使紛争の多くは、労働条件の不明確さから生じています。

本記事では、労働契約書の作り方・記載すべき事項・法律上の義務・よくあるトラブルを防ぐためのポイントを詳しく解説します。

労働契約書と労働条件通知書の違い

「労働契約書」は会社と従業員が相互に署名・捺印する双方向の書類で、法律上の義務はありませんが実務上広く使われています。「労働条件通知書」は会社が従業員に一方的に交付する書類で、労働基準法により交付が義務付けられています。

実務では、両者を兼ねた「労働条件通知書兼雇用契約書」として、双方の署名・捺印を入れた形式が一般的です。これにより、法律上の義務(労働条件の書面明示)を果たしながら、双方が合意した証拠を残すことができます。

必ず記載すべき事項(絶対的明示事項)

労働基準法施行規則により、以下の事項は必ず書面で明示しなければなりません。

労働契約の期間

期間の定めなし(正社員)か期間の定めあり(有期雇用)かを明記します。有期雇用の場合は契約期間を記載します。通算契約期間が5年を超えると、従業員が申し込めば無期転換権が発生します(無期転換ルール)。この点を念頭に置いた雇用設計が重要です。

就業場所・業務内容

雇入れ直後の就業場所・従事する業務内容を記載します。将来の転勤・業務変更の可能性がある場合は「変更の範囲」も明示することが2024年4月から義務化されました。テレワーク・在宅勤務を認める場合はその旨も記載します。

労働時間・休憩・休日

始業・終業時刻・休憩時間・所定外労働の有無を記載します。フレックスタイム制・変形労働時間制を採用している場合はその旨と内容を記載します。週休2日制・年間休日数・有給休暇の付与条件も明示することが望ましいです。

賃金の額と支払方法

基本給の金額・各種手当の種類と金額・残業代の計算方法・賃金の締め日と支払日・支払方法(銀行振込など)を記載します。固定残業代制(みなし残業)を採用する場合は、固定残業代の金額・含まれる時間外労働時間数を明示しなければなりません。

できるだけ記載すべき事項(相対的明示事項)

以下の事項は、定めがある場合は書面で明示することが義務付けられています。定めがない場合は記載不要ですが、できるだけ明確にしておくことでトラブルを防げます。

・昇給に関する事項
・退職手当の有無・計算方法
・賞与の有無・算定基準
・食費・作業用品などの負担
・安全衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償に関する事項
・表彰・制裁に関する事項
・休職に関する事項(休職要件・休職期間・復職条件)

よくあるトラブルと防止策

固定残業代トラブル

「月給20万円(残業代込み)」という曖昧な表現では、固定残業代として認められない可能性があります。固定残業代を設ける場合は、「基本給17万円+固定残業手当3万円(月20時間分)」のように、基本給と固定残業代を明確に分けて記載する必要があります。

また、実際の残業時間が固定時間を超えた場合は超過分を別途支払わなければなりません。固定残業制を正しく設計しないと、未払い残業代請求のリスクが高まります。

試用期間中の解雇トラブル

試用期間中であっても、14日を超えて雇用した従業員を解雇する場合は解雇予告(または30日分以上の解雇予告手当)が必要です。また、試用期間中の解雇も「客観的に合理的な理由」が必要です。

試用期間の長さ・試用期間中の待遇(本採用と同じか否か)・試用期間後の本採用の条件を明確に記載しておくことが重要です。

まつうら総研の見解

労働契約書は「入社時に一度作って終わり」ではありません。業務内容の変更・昇給・役職変更・雇用形態の変更の際には、労働条件通知書の更新または変更合意書の作成が必要な場合があります。

まつうら総研では、労働契約書の作成・見直しに関するご相談も承っています。社会保険労務士と連携し、労使トラブルを未然に防ぐ書類整備をサポートします。

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