従業員との間のトラブルは、どんな会社でも起こりうる問題です。無断欠勤・業務命令への反抗・同僚とのハラスメント・不正行為など、問題の種類は様々です。大切なのは、問題が発生した際に感情的にならず、適切な手順に従って対処することです。
初期対応を誤ると、問題が深刻化したり、会社側の対応が「不当解雇」として争われたりするリスクがあります。本記事では、従業員トラブル発生時の対処法と注意点を解説します。
トラブル発生時の基本原則
事実確認を最初に行う
トラブルが発生したとき、まず行うべきことは「事実確認」です。問題行動の日時・場所・内容・関係者を客観的に把握します。一方からの報告だけで判断せず、関係者全員から事情を聴取することが重要です。
事実確認の内容は必ず書面(記録)に残します。後から「そんなことは言っていない」という言い訳がなされることがあるため、面談内容・メール・チャットの記録を保全しておくことが重要です。
感情的な対応を避ける
経営者や管理職が感情的に対応すると、それ自体がパワーハラスメントと受け取られるリスクがあります。「こんな社員はすぐにクビにしたい」という気持ちがあっても、感情に任せた行動は厳禁です。
問題行動に対する処分(注意・訓戒・懲戒処分・解雇)は、就業規則の規定に基づいて手続きを踏んで行う必要があります。根拠のない処分は「不当解雇」として訴えられる可能性があります。
よくある社員トラブルと対処法
無断欠勤・遅刻・早退が多い場合
無断欠勤が続く場合、まず電話・メール等で連絡を取り、事情を確認します。病気・家庭の事情など合理的な理由がある場合は、休職制度の活用や業務調整を検討します。
理由もなく無断欠勤を繰り返す場合は、口頭注意→書面警告→就業規則に基づく懲戒処分という段階を踏みます。いきなり解雇するのではなく、改善の機会を与えながら記録を残すことが重要です。
業務命令に従わない場合
業務命令への反抗・拒否は、会社の秩序を乱す行為です。まず命令の内容が合理的で違法ではないことを確認した上で、なぜ従わないのかを事情聴取します。
改善が見られない場合は、書面での業務指示(改善命令書)を交付し、その後も従わない場合は就業規則の懲戒規定に基づいて処分します。「言った言わない」のトラブルを防ぐため、業務指示は必ず書面で行うことが重要です。
横領・不正行為が発覚した場合
横領・経費の不正請求・情報漏洩などの不正行為が発覚した場合は、迅速かつ慎重な対応が必要です。まず証拠を保全し、弁護士に相談することをお勧めします。
事情聴取の際は、弁護士または複数の管理職が同席し、録音・記録を行います。不正が確認された場合は、懲戒解雇・損害賠償請求・刑事告訴も選択肢に含まれます。感情的にならず、法的手順を踏むことが重要です。
トラブルを未然に防ぐための対策
採用時の見極めを丁寧に行う
多くの社員トラブルは、採用時のミスマッチから始まります。面接での人物評価・リファレンスチェック(前職での評判確認)・試用期間中の丁寧な観察など、採用プロセスを慎重に進めることが予防の第一歩です。
また、試用期間中に問題の兆候がある場合は、早い段階で話し合いの機会を設けることが重要です。本採用後よりも試用期間中の方が、関係解消が比較的容易です。
定期的な1on1面談の実施
従業員と定期的に1対1の面談を行うことで、問題が表面化する前に不満・悩みを把握できます。経営者や上司との対話の機会があることで、従業員の心理的安全性が高まり、問題行動の抑止にもなります。
まつうら総研では、就業規則の整備・社員トラブルへの対応・懲戒処分の適切な進め方について、社会保険労務士・弁護士と連携してサポートしています。問題が深刻化する前にご相談ください。