社会保険の加入義務とは

法人設立後に避けられない社会保険の加入手続きと保険料の考え方を解説します。

社会保険の加入義務とは

会社(法人)を設立すると、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられます。これは従業員の有無に関わらず、代表者一人の会社でも同様です。個人事業主の国民健康保険・国民年金と比べると、保険料負担が大幅に増加するケースが多く、法人化を検討している方にとって重要な判断材料となります。

本記事では、法人設立後の社会保険加入義務の内容、手続きの流れ、保険料の計算方法、そして未加入リスクについてわかりやすく解説します。

法人が加入義務を負う社会保険の種類

①健康保険(協会けんぽまたは組合健保)

法人の役員・従業員は、全国健康保険協会(協会けんぽ)または業種・規模に応じた健康保険組合に加入します。個人事業主の場合は市区町村の国民健康保険に加入しますが、法人化後は原則として協会けんぽへの切り替えが必要です。

健康保険料は標準報酬月額に保険料率(2024年現在、東京都は約10%)をかけた金額の約半分を会社が負担し、残りを従業員・役員が負担します。

②厚生年金保険

法人の役員・従業員は国民年金に代わり厚生年金保険に加入します。厚生年金の保険料率は2024年現在18.3%で、会社と本人が半分ずつ(各9.15%)負担します。国民年金の定額保険料(月額約16,980円/2024年)と比べると大きな負担増になりますが、将来もらえる年金額も増加します。

③雇用保険・労災保険(従業員を雇用する場合)

従業員を採用した場合は、さらに雇用保険と労働者災害補償保険(労災保険)への加入も必要です。役員(代表取締役等)は通常、雇用保険・労災保険の対象外ですが、従業員を雇う段階で手続きが必要になります。

雇用保険料率は会社と従業員で分担し、労災保険料は全額会社負担です。

社会保険の加入手続き

管轄の年金事務所に届け出る

社会保険の加入手続きは、本店所在地を管轄する年金事務所(日本年金機構)に以下の書類を提出します。

・健康保険・厚生年金保険 新規適用届
・健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
・登記事項証明書(発行から3ヶ月以内)

提出期限は設立日から5日以内とされていますが、実務上は設立月内に手続きを開始することが一般的です。手続きが遅れると、保険料が遡及請求される場合があります。

標準報酬月額の決定

社会保険料の計算基礎となる「標準報酬月額」は、役員報酬・給与の月額に基づいて決定されます。標準報酬月額は1等級(5万8,000円)から32等級(65万円)まで区分されており、実際の報酬月額に最も近い等級が適用されます。

例えば、月額報酬30万円の場合、標準報酬月額は30万円(第22等級)となり、月々の社会保険料は健康保険・厚生年金合わせて約9万円(会社負担分含む)程度になります(都道府県・年度によって異なります)。

社会保険料の会社負担の現実

社会保険料の会社負担は、中小企業にとって大きなコスト要因です。例えば、月額報酬30万円の役員1名の場合、会社負担の社会保険料は月額約4〜5万円程度(年間50〜60万円)になります。

従業員を採用した場合も同様に、給与の約15〜16%が会社負担の社会保険料として発生します。人件費は「給与だけ」ではなく、社会保険料を含めた総コストで考える必要があります。

この社会保険料の負担増は、個人事業主からの法人化を検討する際の重要な判断材料となります。個人事業主時代の国民健康保険・国民年金との差額を事前に試算しておきましょう。

未加入・加入遅延のリスク

社会保険への未加入や加入遅延は、以下のリスクをもたらします。

・過去に遡って保険料を請求される(最大2年間遡及)
・延滞金が発生する
・行政指導・立入調査の対象になる
・役員・従業員との間でトラブルになる可能性がある

年金事務所は、法人の設立情報と社会保険加入状況を照合しており、未加入の法人には積極的に加入指導を行っています。「知らなかった」では済まされないため、設立後すぐに手続きを行うことが重要です。

社会保険料の節税対策

社会保険料そのものを完全に回避する方法はありませんが、役員報酬を適切な水準に設定することで、過大な社会保険料負担を防ぐことができます。また、一部の法人では選択制確定拠出年金(企業型DC)の導入によって、節税しながら老後の備えをするという方法もあります。

社会保険料は会社の費用(損金)として計上できるため、法人税の軽減効果があります。社会保険料の「コスト」の側面だけでなく、従業員の福利厚生・採用力向上という「投資」の側面も考慮することが重要です。

まつうら総研へのご相談

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経営者にとって社会保険は「避けられないコスト」ですが、適切な知識を持って対処することが、健全な経営の第一歩となります。

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